牛タンとしみちゃんとカープと

教えることや学ぶことについての自分の考えを言葉にします

22回表【読書3】『計算しない数学』根上生也著

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最近読んだ数学の本の中で、ベスト5に入る本。

 

数学を「自由に考える部分」と、「お作法の部分」に分けて考えようと言っている。これはキース・デブリンさんの言っている「自然の数学」と、「抽象的な数学」と重なる。

 

「お作法の部分」とは、学校の算数の授業で行っている計算や、算数における決まりなどである。行儀のいい子は上手にこなせるかもしれないが、お作法を教えてもらっているだけでは、いずれ忘れてしまう可能性が高い。そうではなくて、もっと自由に考えて、意味を理解したり、原理を感じ取ったり、構造を見出し、理解したりすることの方が大切である。それは人間が生まれながらにして持っている数学力であると言う。つまり、「自由に考える部分」である。

 

ちなみに自由に考えるというのは、数や式で考えるのではなく、絵を描いて考えることを大事にしている。そして、それを言葉で考えることも大事にしている。
絵に描くことで、問題解決のポイントを探って、自由に考えて、お作法に従って考えをまとめていく。これは、大人でも子どもでも同じこと。問題をイメージを使って理解する。『理解するってどういうこと?』の中にある理解の方法とも重なる。

 

子どもは幼稚園に行く前からお絵描きをしたり、積み木やブロックでいろいろな形を作ったり、お菓子やおもちゃの数を数えたり、そうした経験を通して、数の概念や図形の形や配置を認識している。これが、生まれながらにしてあるという。これも、キース・デブリンさんが言うように赤ちゃんが数学をしているということや、貧しくてほとんど教育を受けていないブラジルの12歳の少年が露天市場で店番をしている時にしている計算(学校の計算式を使わないで成立する計算)も、自分たちがそうしたいからしているのであって、自分で自分の数学を生み出していることに共通点があった。

 

小さい子が、学ぶことに対して楽しんでいるのは、自由に考える数学をしているからなのかもしれない。自分が今まで考えていたことがつながった感じ。