牛タンとしみちゃんとカープと

教えることや学ぶことについての自分の考えを言葉にします

21回表【読書2】『数学する本能』キース・デブリン著

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この本は自分の中で大ヒットの本でした。
この本は『算数・数学はアートだ』の本の中で紹介されていて、芋づる式に見つけた本。

 

ロブスターやアリ、赤ちゃんなどは数学を使っているということを、大量の調査によって裏付けられている本。ここまで調べているとは驚きでした。
例えば砂漠のアリは、広大な砂漠で迷うことはない。これは、昔の船乗りたちや航空機パイロット、NASAのアポロ宇宙船も月と地球を往復するために、『非天測位置推測法』という大変高度な数学を使っていたという。人間が砂漠でアリと同じように迷わないようにするためには、このような数学が必要になる。つまりアリは自然に数学をしているということになる。こうした話がアリ以外にもたくさんあり、その一つ一つが大変面白い。

 

様々な例を出した上で、数学には『抽象的な数学』(学校で教わる数学)と、『自然の数学』(この本で取り上げてきた例や、人間に生まれつき備わったもの)があると言う。そして、『抽象的な数学』は、『自然の数学』を形式化したものに過ぎないということも言っていた。

そして、一番面白かったのは、以下の二つだった。
『脳は何にでも使える一般的な技能を獲得した上で、その能力を特別な状況に応用するには、全く不向きらしい。むしろ、仕事の上で何かの技能や能力が必要になった時はその問題を解ける、というのが脳の強みらしい』
『幸いなことに、本人が抽象的な数学をもっと上手にできるようにならなければと本気で思いさえすれば、人間の脳の、非常に適応性がある、という特徴が力を発揮することになる。』

だから、教科書を漏れなく、教科書に書いてある通りに教えることに意識を向けるのではなく、子どもが自分に意味のある状況から算数・数学をスタートできるような場を作ってあげることと、そこからどのように考えていけばいいのかをサポートしてあげることが大切だと感じた。