牛タンとしみちゃんとカープと

教えることや学ぶことについての自分の考えを言葉にします

「思考のスピードのコントロール」

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※写真のずんだは本文と全く関係ありません。

 

最近、思考について考えている。今日は『思考のスピードのコントロール』について考えていることを書こうと思う。

 


まず、『思考のスピードのコントロール』の前に、思考は可視化することができるということに触れておく。ノートへの殴り書きも思考が可視化された状態の一つだとも思っているが、思考ツールを使うことで、その人の考えていることを見やすくすることができるのだ。思考ツールとは、ベン図やピラミッドチャートやイメージマップなど、思考を見やすくするフレームのようなものである。マインドマップも思考ツールの一つだと思っている。(マインドマップはイメージマップとバーバラミントさんのピラミッド構造がミックスしているなあと最近思う。)ちなみに思考ツールは関西大学初等部の黒上晴夫さんが提案されている。黒上さんは『子どもの思考が見える21のルーチン』R・リチャート/M・チャーチ/K・モリソン著を翻訳されているが、それを思考ツールとして、とてもわかりやすくしていることがわかる。(リチャートさんたちは、理解のための思考や、問題解決や意思決定、判断するための思考もあると言っていますが、それはまたの機会に。)

 

そして本題の『思考のスピードのコントロール』だ。思考のスピードは意図的に落とすことで、思考が深まるのではないかと最近思っている。思考のスピードの落とし方は2つあって、『質問によってスピードダウンをさせること』と、『問題を解決する思考過程を書き出すことによってスピードダウンをさせること』がある。

まず、『質問によってスピードダウンをさせること』は、立教大学の清水哲也教授の哲学対話を体験したときに学んだことだ。対話は、どんどん話が進んでしまうことが多く、話が流れてしまうことが多い。これは、抽象的な言葉も曖昧なまま話が進んでしまうことが多いということだ。よく、話し合いが終わった時などに、「◯◯ってどういう意味ですか?」と、こっそり近くの人に聞いている人をよく見かける。それは、対話の中に抽象的で曖昧な部分があるから理解しきれていないことが考えられる。(ここでは、単純に聞き逃したとか、心配だからもう一度聞くという話はわきに置いておく)そこで、ファシリテーターは対話をしている時に、抽象的で曖昧な言葉に対して、「例えばどんなときですか」とか、「○○ってどういうことですか」といった質問をしていく。それによって、抽象的で曖昧な言葉を、具体的で明確な言葉に変えことができる。理解を深めるには、こうして質問によって思考のスピードを落とすことが大事だということがわかる。

 


そしてもう一つが、『問題を解決する思考過程を書き出すことによってスピードダウンをさせること』だ。思考のスピードを落とすことは、数学的思考を深めることにつながるのではないかと思っている。ある問題(例えば一筆書きの問題や、マッチ棒パズルなど)に対して、パッと解答が浮かんでしまうことはだれでもあると思うし、早く解けたことに対して満足することがあると思う。しかし、解答のスピードに価値をおかずに、その解答は自分の知っていることとどのように繋がっているのか。そもそも自分が知りたかったことはなんなのか。いまの解答以外に他のやり方はないのか。何かパターンは見えてこないか。などなど、じっくり自問し、問題解決にたいする自分の思考を細かく書き出して、思考を紡ぎ合わせていくことで、数学的な思考が深まるのではないか。ちなみに、自分の思考を細かく書き出すことは、自分の思考を客観的に見ることにつながる。つまり、問題解決の思考過程を書き出すことは、自分を客観的に見るメタ認知の視点を育てることにもつながるとも思っている。

思考過程を書き出すことは単純に時間がかかるので、スピードが落ちていく。しかし、スピードを落とすことで数学的な思考が深まる可能性が高くなる。

 

ちなみに、数学的に思考していることを書き出すことには感情が大きく関わってくるので、思考ツールと数学的な思考を書き出すことは、ちょっと違うかなという感じもある。(今のところはですが。)

 

さて、こうして思考のスピードを落とすことは、時間にゆとりを持つこととかなり繋がりがあることに気づく。僕が強く影響を受けた坂内先生・高橋先生・古田先生の提案されている学びのカリキュラムマネジメントの考え方は、授業時間を生み出すだけでなく、生み出されたゆとりのある時間で、思考のスピードを落とす余裕がうまれることにもつながるのだと思った。

 


【深く思考することは、ゆとりのある時間が可能にする。】ということを自分の中に持っておこうと思う。